2023.07.14

座椅子ソファPENTA 900 Chairの誕生。

日本の床スタイルに北欧のエッセンスを取り入れ、「座椅子」ソファとして新しい形を提案するPENTA 900 Chair。形になるまでの苦労や、作り手の想いを職人にインタビューしました。

座椅子ソファ PENTA 900Chairの誕生

    CONTENTS

  1. PENTA 900 Chairのはじまり
  2. 極限の薄さへの挑戦
  3. お客様の声から広がる用途と可能性
PENTA 900 Chairのはじまり
Q :

あまりない珍しいデザインのソファですね。
どのような経緯で製作がはじまったのでしょうか?

PENTA 900 Chairのはじまりは、FLANNEL SOFAの7周年を記念したコラボプロジェクトでした。 北欧インテリアショップのデザイナーが、長年温めていたデザイン構想案を、製品化しようと動き出したのがきっかけです。

PENTA 900 Chair
PENTA 900 Chair について語る職人Tさん
Q :

どんなコンセプトでデザインされているのですか?

コンセプトの軸は、「正五角形の内角108°」です。その内角108°がそのまま背の角度に利用されています。この108°という角度は、人が "座りきった時の姿勢 " にちょうどフィットし、心地良く座っていられる数値なんです。 このコンセプトは、最初の製作段階からこれまでのマイナーチェンジでも、変わらず維持し続けてきました。

PENTA 900 Chair
PENTA 900 Chair の構想図案。
当時から変わらないデザインは図の中央にある「正五角形」と「内角108°」が軸になっています。
Q :

「PENTA 900 Chair」という名前もコンセプトと関係があるのでしょうか?

「PENTA」は英語 pentagon -ペンタゴン- (正五角形)が由来です。「900」という数字も、正五角形を収めている900mmの正円の寸法からきています。

Q :

最初にこの構想図を見た時はどうでしたか?

ここまで厚みのない、薄いソファは今まで作ったことがなく、正直なところ完成できるのかは未知数でした。 構想図にあるデザインを変えず、この薄さをどう実現させていくのかは私たちにとって初めての試みであり、とても挑戦的な取り組みでした。

PENTA 900 Chair
背もたれも座面も厚みは100mm以下です。
極限の薄さへの挑戦
Q :

薄いソファはどのようなところが難しいのですか?

本来ソファは、クッション性と強度を保つ為にある程度の厚みが必要です。PENTA 900 Chairのように背も座もとても薄い場合、クッション性を確保しながら強度を出すのが非常に難しいんです。 シャープな形状、「108°」というコンセプト、強度と心地のバランス。これらを実現するため、どのような構造にするかを試行錯誤しました。

Q :

実際に、どのようにこの薄さを実現されたのでしょうか?

まず、土台となる木枠の組み方を工夫しました。従来のソファの木枠は、天板が側板(側面に取り付けた板)の「上」にきますが、PENTA 900 Chairの場合は、側板の「下」に板を設置し、えぐったような形で木枠を組みました。 そこにウレタン層を入れることで、座面の厚みを押さえながらクッション性を保っています。

PENTA 900 Chair 座面の木枠
PENTA 900 Chair 座面の木枠は「えぐったような」組み方になっています。
PENTA 900 Chair 座面の木枠
PENTA 900 Chair 座面の木枠は「えぐったような」組み方になっています。

ウレタン層も高密度チップウレタン3層と中密度ウレタン1層を積み重ねることで、よりクッション性を高めています。 複数の層のウレタンが座った人の体圧を分散することで、薄くても板の硬さを感じさせない快適な心地を実現することができました。

高密度ウレタンとチップウレタン
板の硬さを感じないよう、高密度ウレタンが積み重ねられています。
高密度ウレタンとチップウレタン 高密度ウレタンとチップウレタン
板の硬さを感じないよう、高密度ウレタンが積み重ねられています。
PENTA 900 Chair 座面の木枠
「木枠側面の接合部」の強度を上げるため、背の側板と座の側板を交互に重ねています。
お客様の声から広がる用途と可能性
Q :

ソファ完成から17年が経ちます。販売されてからの反応はどうでしたか

17年ですか。人間だとそろそろ成人する歳ですね。なんだか感慨深いです。PENTA 900 Chairは販売当初から人気シリーズでした。 「床に近いスタイル」が日本人に馴染みやすく、お客様の暮らしに寄り添うことが出来たのだと思います。
使う場所を選ばない点も好評です。 ソファの脚裏に高さ調節のアジャスターがあるので、凹凸のある床や、敷物の境目など段差がある場所、また和室にも置きやすくなっています。

PENTA 900 Chair 脚のマイナーチェンジ
床の凹凸に対応するため、脚裏に高さ調節のアジャスターがついています。
Q :

ソファを使いやすくする工夫は他にもありますか

初期の形から脚の太さが1cm細くなり軽量化しました。女性の方も持ち運びやすくなって、また、見た目の印象もいっそうスタイリッシュになっています。

PENTA 900 Chair 脚のマイナーチェンジ
PENTA 900 Chair の脚。マイナーチェンジされ、よりスタイリッシュになりました。
PENTA 900 Chair 脚のマイナーチェンジ
PENTA 900 Chair の脚。マイナーチェンジされ、よりスタイリッシュになりました。
PENTA 900 Chair 脚のマイナーチェンジ
(左)マイナーチェンジ前 58mm (右)マイナーチェンジ後 48mm
Q :

2台組み合わせての設置が定番ですが初期の頃もそうだったのですか

元々、2台合わせれば長椅子にもなる1人掛けソファ、といった想定ではありました。 ただ、今のようにバイカラーにしたり2台組み合わせて設置したりするのは、実際にPENTA 900 Chairを愛用されているお客様の「コーディネート例」の写真から広がっていったものです。 そういったお客様に広げていただいた使い方は、今ではPENTA 900 Chairの大きな魅力になっていると思います。

2台組み合わせた設置
Q :

PENTA 900 Chairは、FLANNEL SOFAのアイコン的ソファの1つになっていますね。お客様に選ばれる理由は何だと思いますか?

デザイン、心地はもちろんですが、ソファとしては面積が小さくコンパクトなので柄物や鮮やかな生地をトライしやすい点も、お客様に選ばれている理由の1つだと感じます。 過去には、持ち込みで京友禅の生地やデザイナーズのファブリックで張ったものもありました。 2台セットの製作をするときは生地の組み合わせによってお客様の個性が見えてくるので面白いです。 シンメトリーでシンプルなデザインのPENTA 900 Chairは、生地の色や表情が映えるのでそれもまた魅力の1つですね。

kvadrat(クヴァドラ)
デンマークのテキスタイルブランド kvadrat(クヴァドラ)の色鮮やかな生地で製作したPENTA 900 Chair。
JXシリーズ/マスタード(店頭限定生地)
ジオメトリックな織柄が特徴のJXシリーズ/マスタード(店頭限定生地)で製作したPENTA 900 Chair。

今も色褪せることない、思わず座ってみたくなるフォルム。座ってわかる心地よさで永く愛されてきました。 シンプルかつ薄さを極めたシャープなデザインには、職人によるコンセプトへの強い意志と、果敢な挑戦の軌跡、技術が詰まっています。 リビングに、和室に、場所を選ばず使えるPENTA 900 Chair。1台2台とコーディネートをして是非、自分らしいカラーでお楽しみください。

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