2022.12.16

ソファ職人と本革の歩み

生き物由来のため個体差が強く、繊細で扱いの難しい「本革」。20年以上、本革ソファを作り続けてきた職人たちは、本革とどのように向き合ってきたのか。 長年の歩みを辿りながら、努力や工夫、想いを取材しました。

SARAHの座り心地

    CONTENTS

  1. FLANNEL SOFA 本革ヒストリー
  2. 個性の強い、本革と向き合う
  3. 職人が思う本革の魅力
FLANNEL SOFA 本革ヒストリー
Q :

FLANNEL SOFA創業当初から変わらず人気の本革ソファ。
作り初めて20年以上経ちますが、特にどのような点にこだわってきましたか。

張り職人 Kさん:
FLANNEL SOFAでは、「より永く使える本革ソファにこそ一層“こだわり”を持って製作したい」という
代表の思いから、10年ほど前に、本革専用のソファの内部構造を開発しました。
厚く硬い本革を、より美しく張るため。また、より永くご使用いただくため。ソファの形を変えず、木枠やバネ・ウレタン密度など、目に見えない細かな内部構造を総合的に変更し、「ファブリック(布)ソファ」とは異なる仕様にしています。

siesta
Q :

より良い状態で「本革ソファ」をお客様へ届けるため、本革用に内部構造を変更しているんですね。他にも本革ソファの品質を高めるために行っていることがあれば教えてください。

張り職人 Kさん:
本革の場合は、ソファが完成した後に必ずそのソファに携わった職人を集めて、情報共有を行っています。天然革は表情や厚み、伸び具合も1点1点異なるため、工夫した点や難しかった箇所などを共有し、仕上がりを入念にチェックすると共に品質の向上にも繋げています。

縫製職人 Sさん:
縫製の工程では、職人同士の連携を重視し、より良いものづくりをするため”本革専用の工房”を設けました。今まで少し離れた所にあった本革の「裁断場」と「縫製場」を1つにすることで、工程間での細かなやり取りをよりスムーズに行うことができるようになりました。

本革専用の工房

本革専用の工房

個性の強い、本革と向き合う
Q :

生き物由来の本革は繊細な部分が多そうですね。本革ソファの製作過程で特に大切にしていることはなんですか?

張り職人 Aさん:
一番大切にしているのは「均一な仕上がり」です。完成形をイメージしながら、均一な張り具合になるよう気を配っています。 本革は天然素材のためファブリックと違い、硬さや伸び具合など縫製品1つ1つにその革の個性がでます。
1回で均一に張り上げることは出来ないため、まず「仮留め」をして革の個性を確認した上で、完成形がイメージできる状態にしてから本格的に張り上げるようにしています。

革の伸びる方向

革には繊維方向があり、矢印の方向に伸びる性質があります

仮留めしている写真

本革ソファBRICKを「仮留め」した様子

張り感が足りないところや、縫い代が重なりシワができやすい角の部分は、「かませ」と言って小さくカットしたウレタンや綿を入れることによって綺麗なラインが出るよう、 細部までこだわりながら微調整をし、作っていきます。

2分割画像

ソファの角は縫い代が重なりシワになりやすい為、仕上がりを大きく左右します

微調整に使う「かませ」

2分割画像

ソファの角は縫い代が重なりシワになりやすい為、仕上がりを大きく左右します

2分割画像

微調整に使う「かませ」

Q :

本革ソファはファブリックソファと内部構造を変えているとのことでしたが、実際にどのような点が変わっているのですか?

張り職人 Aさん:
例えば革張り仕様で特に人気の「ソファBRICK(ブリック)」は、コイルスプリング(バネ)を通常より一巻き多くしています。 一巻多いバネを木枠に取り付けた後で、バネを縮めた状態にして糸で固定し、革を張った後で最後に糸を切る。そうすることでバネの反発性が高くなり、パンッと張った綺麗な仕上がりになります。

コイルスプリング糸で留めてある写真

糸で固定されたコイルスプリング

Q :

製作する際のひと工夫や、細かな調整でソファの美しさが決まってくるのですね。裁断や縫製の工程でもソファを美しくする工夫はありますか?

縫製職人 Sさん:
裁断前の「革のパーツ取り」がとても大切です。革を張り上げていくときに力が掛かることを考慮して、革のどの部分を使うか決めています。例えばステッチやジッパーを縫い付ける箇所は、糸でしっかり固定されるので革自体が伸縮しません。その為、周辺の革も力がかかった時に伸びにくい部位を使います。
また力を加えることで初めて見えてくるシワや傷(ナチュラルマーク)もあるので、そういった所がなるべくソファの正面にこないよう、念入りにその革の状態を確認しながら手作業で裁断を行っています。

動物のシワ

動物のシワ

肌荒れなどのスレ

肌荒れなどのスレ

キレキズ・治りキズ

キレキズ・治りキズ

ピンホール・虫穴

ピンホール・虫穴

チスジ

チスジ

ナチュラルマーク

チャコペンでパーツを書き込んである半裁の写真

型取りした裁断前の本革

傷など避けたい箇所を緑でマーク

大きな傷など避けたい箇所を緑でマーク

職人が思う、本革の魅力
Q :

沢山の本革ソファを製作してきた職人の皆さんが思う、
“本革ソファの魅力”を教えてください。

縫製職人 Sさん:
本革ソファ特有の「革割(革を繋ぎ合わせたデザイン)」と「ナチュラルマーク」が魅力だと思います。ファブリックやフェイクレザーには無い「1点もの」の証です。個人的には「トラ」と呼ばれる、大きな直線状のシワや帯状の色ムラの表情が特に好きですね。 あとはやっぱり、永く使える素材だから、お客さまもソファとの思い出が多くなるんじゃないかな。だから僕たちも永く使える良いソファを作る努力をしています。

革割の写真

本革ソファの意匠性を高める「革割」

トラの写真

天然革にしかない「トラ」の表情

革割の写真とトラの写真

本革ソファの意匠性を高める「革割」

革割の写真とトラの写真

天然革にしかない「トラ」の表情

Q :

本革で張るとかっこいいFLANNEL SOFAのソファシリーズは何だと思いますか?

張り職人Aさん:
BRICKです。BRICKは肘や座面などパーツ毎に革を張っていくので、その分より一層、理想の仕上がりを目指すことができるソファです。細かいところまでこだわれる所が良いですね。

BRICK

ソファBRICKの詳細はコチラ

縫製職人Sさん:
NOOKが意外にいいですよ。僕は1人掛けが好きで、モダンなものよりもトラディッショナルなデザインのソファに革を張るとかっこいいと思います。

NOOK

ソファNOOKの詳細はコチラ

張り職人Kさん:
僕はUKのような緩やかな曲線のあるソファがおすすめですね。光が落ちた時にファブリックにはない光沢感がでて、革特有の立体感が出るのが綺麗だと思います。

UK

ソファUKの詳細はコチラ

BRICK/NOOK UK

ソファUKの詳細はコチラ


1点1点のソファを手作業で丁寧に作ることで、個性の強い本革の些細な変化を感じ取りながら、真摯に向き合い歩んできたFLANNEL SOFAの職人たち。 天然革のソファにしかないナチュラルマークや革割のデザインは、ソファ職人の歴史とこだわりが随所に詰まった「1点もの」である証です。 永く使うほど味わいが増し深みがでる、美しい本革ソファをぜひご堪能ください。

BRICK

本革生地の詳細はコチラ 選び抜かれた本物の本革 FLANNEL SOFAオリジナルの本革

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