お客様から人気のソファPIVO。
デザイン案から試作をする際、何を意識しましたか?
張り職人 Wさん:
まず、見た目の美しさに加えて、お客様がどのように生活の中で使うのかなどを考え、耐久性・機能性も兼ね備えられるよう意識しました。今でもお客様の声を聞いて、より使いやすく、より美しく仕上がるように細かい部分まで試行錯誤して、マイナーチェンジを繰り返しているんです。
デザインを実際の形にするのは、大変なことなんですね。PIVOはどのようなコンセプトを軸に製作されたのですか?
Wさん:
PIVOは産学共同のチームプロジェクトから派生して生まれたソファです。「リビングとダイニングなど、2つの空間を繋ぐソファ」というコンセプトで製作を進めました。背が低く、抜けがあることで、お部屋を開放的に魅せると同時に、あらゆる方向からの動線を生み出します。(写真1)
部屋の中央に配置されることを想定しているので、正面・背面という概念がありません。そのため「正面からだけでなく、横から、後ろからでもフラットで美しく見えること」「丸みを持たせた形にすること」を目指して仕上げました。丸みを持たせることで、お子様がソファの周りを走り回っても安心・安全ということを、無意識に視覚から感じることもできます。(写真2)
(写真1)部屋の「中心=PIVOT」
(写真2)どの角度から見ても美しいフォルム
PIVOはどこから見ても美しく感じます。
どのようなこだわりが隠されているのですか?
Wさん:
どんな角度からも美しく見える理由の一つに、ソファ側面にある縫い目への配慮があります。生地を縫い合わせた時の重なりが、ソファの表面に盛り上がって出ないよう、内部のウレタンに切れ目を入れ、そこに収めています。このような繊細な気配りにより、フラットで美しいフォルムを実現しています。
生地の縫い合わせ部分を、ウレタンの切れ目に収める様子
フォルムに丸みを出すためにも、何か工夫があるのでしょうか?
Wさん:
自然な丸みのある美しいエッジを表現する為に、ウレタンの角部分を丸くカットするのではなく、あえて、角ばった状態の上から生地を巻き付けています。同時に角のウレタン密度もグッと高くなることで、曲線の型崩れもしにくくなり、より耐久性が高まります。座面となる土台だけでなく肘や背も、四隅となる部分には丸みを持たせて、ソファ全体を統一したデザインに仕上げています。(写真3)
さらに丸みを出すための工夫として、角にはなるべく縫い目を付けないようにしています。角に縫い目があると、ブロックのようにカチッとした印象になるので、縫い目はソファの側面に入るようにしました。(写真4)
(写真3)自然な丸みのエッジ
(写真4)ソファ側面の縫い目
他に、見えない工夫はありますか?
Wさん:
木枠のつくりの部分です。木枠に土手をつくり、少し出っ張らせることで、ウレタンと生地を張ったときに角のウレタンが潰れて丸みが出ない様、工夫しています。
木枠に付けられた土手
使い手を大切に想いながら、幾重にも繰り返される考察と吟味の上、誕生したPIVO。デザイナーが緻密に計算して生み出した理想に、数十年ソファを造り続けてきた職人が技術と経験で応えていく。双方のタッグにより表現された繊細なディテールや佇まいに、静かながら熱く濃い作り手の気配が感じられます。
一瞬の感動をずっと感じていただくために、見えない部分や1mmにまで惜しみなく向き合う、FLANNEL SOFAのものづくり。ソファに対する誠実な創意工夫の積み重ねが、お客様から愛され続ける理由のひとつなのかもしれません。今回紹介したPIVOの工夫やこだわりは、ほんの一部に過ぎません。ぜひPIVOをショールームでお試しいただき、FLANNEL SOFAのものづくりをご体感ください。