産学共同デザイン 5W×1H×3P とは

名古屋工業大学大学院 伊藤孝紀研究室と有限会社 TYPE A/B、株式会社 FLANNELの 1研究室と 2企業による産学共同プロジェクト。5W × 1H × 3Pとは、2つのProfessional(企業)と学生らのPersonality(個性)により1つの商品が生み出されるプロジェクトです。三者それぞれの 5W × 1Hの要素が目的に則して抽出され "カケアワセ "されていく Process(過程)を公開します。

2010年3月の記事一覧

(全4件中 4件を表示しています)

掲載日:2010 年 3 月 31 日

no.48 2つのソファ

FLANNEL SOFAの記事

100331

今、私たちで手掛けているのは、「RONDO/ロンド」(コンセプトモデル)。そしてもう一つ、「RONDO/ロンド」とはまた別の、使い勝手に重点を置いた“新しいソファ”のデザイン検討をしています。今回はその2モデルのこれからをどうしていくのか、話し合って方向性を確認、決定するという内容の打ち合わせをしました。

「RONDO/ロンド」(コンセプトモデル/写真のモデル)は、ソファ+デザイン+アートの要素が多かったため、商品化を断念するのでは?と考えていたのです。しかし、試作を重ねることで、仕上げてみて、皆で討議して「RONDO/ロンド」も商品化を目指そう、ということになりました。ですから、「RONDO/ロンド」は、数量限定(未定)ですが、販売予定です。

まずは、仕上がった「RONDO/ロンド」を皆に見せて、仕上げ方はよいか?、手縫い跡の綺麗さはこれでOKか?・・・現状での問題点を説明して、逆に改善すべき点を指摘してもらうという形で討論が行われ、“どうつくるか”が大体方向づけられました。
今回、「RONDO/ロンド」のコンセプトを全面に出したモデルとしては初仕上げで試したかったのは、

  • 理想のパーツ取りで製作可能か?
    (背表と他のひとつながりのパーツの、たった2パーツから出来ています。)
    →ディテールを最大限綺麗に見せられる。
  • 手縫いの技法で綺麗に仕上げられるか?
  • 仕上がりにおいて最適な生地を探す
    (今回は、服地のウールニット使用。次回は椅子張り用のウール地を試作予定)
  • 撮影可能なレベルまで、ディテールにおいてクオリティーを上げる
  • 仕上げに最適な内部構造を考案する
  • まず作ってみて、問題点、改善点を洗い出す

という事柄についてです。
現段階における必要レベルには達しているということで、次回の試作(2ヶ月後、5月末完成予定)では“このまま世に送り出してもいい”と、全会一致が得られるよう、完璧を目指したいと思います。(実はまだその先2回は試作を繰り返すという予定だが)

さて、もう一つの議題でもある、新しくデザイン検討しているソファ。3月末までのこのタイミングで、デザイン案をいくつもいくつも受け取り、検討し、・・と繰り返し、もし商品として発表するに値しないとなれば、今回の打ち合わせで商品化案は廃止(「RONDO/ロンド」も同様、先行き見えなければ打ち止め)とする用意もありましたが、一つのデザイン案で方向性は決定。

しかしまだ公表できませんので、絵的なものはお見せできません。元々は「RONDO/ロンド」のエッセンスを取り入れたモデルを商品化しようと試みていました。しかし、「RONDO/ロンド」とは完全に切り離したデザインや、方向性で進行しています。この商品化案においては、座り心地や、使い勝手などの話し合いまでできれば、図面化、材料出し、試作、発表、と、割とスムーズにいく予想です。

次回は「新しくデザイン検討しているソファ」と呼ぶのではなく、商品名を公表できればな、と思います。

「RONDO/ロンド」、新デザインのソファ、共に完成させていく方向で決まり、2モデルがカケアワセプロジェクトから生み出されます。

フランネルソファとしてはどちらも自信持って”ハイクオリティーです“と、世に送り出せるよう、気を引き締めて最後の数ヶ月間、検討、製作にかかりたいと思います。

————————————————-
FLANNEL SOFA
http://www.flannelsofa.com
http://www.flannelsofa.com/shop/
ハギレプロジェクト
http://www.flannelsofa.com/hagire/
————————————————-


掲載日:2010 年 3 月 25 日

no.47 いつもの風景

100325_1

先日、いつものFLANNEL SOFA FACTORYにお邪魔してきました!!

今まで僕らが工場に伺う時は、両者のスケジュールの都合上、FLANNEL SOFA FACTORYの一般業務が終わった後でした。つまり、僕らは、「RONDO/ロンド」の制作風景しか見たことがなかったのです。

しかし、今回はFLANNEL SOFA FACTORYが一般業務を行っている所を見に行ってきました。大須のショールームに展示されているソファが着々と生み出されるのをじっと見学してきました。

主に「裁断」、「ウレタン貼り」、「組み立て」、「仕上げ」を見てきたのですが、作業には無駄な動きが全くなく、ひとつのショーを見ているかのようでした!!

まさに、熟練の技です。工場に響く音も、小気味よく、ず〜と見ていられます。
全部で、3時間ほど見ていたのですが、本当にあっという間でした。

皆さんも近くに何かの工場、工房があれば、職人さんの動きを見に行ってはどうでしょうか?きっといくつもの発見があるはずです!(もちろん、承諾を得てからですよ!!)

そして、最後にコンセプトモデルの進行状況を見せて頂きました。

エッジもしっかり出ていて、何より縫製の継ぎ目がキレイです!!

一番下の写真は、コンセプトモデルを手縫いしている所です。まさに職人技!!
一見の価値ありです!!

もうすぐできますよ〜コンセプトモデル!!楽しみにしていてください!!

[デザイナー富田のつぶやき]

今回もコンセプトモデル「RONDO/ロンド」は劇的な進化をしたのでその点を一つ説明します。
見た時に思わず「すごい!」って言ってしまったほどです。

100325_2

前回(写真右)のものは座面が本体と別々になっていますが、今回(写真左)は完全に一体化されています。この改善点は些細なことかもしれませんが、その部分の積み重ねによってコンセプトモデル「RONDO/ロンド」は着実に進化しています。

さらに見かけだけでなく座面の座り心地も良くなっていて、座る機能を疎かにしないソファ職人さんの心意気も感じることができました。

——-
名古屋工業大学/伊藤研究室
http://www.type-ab.com/ti_di/index.html
——-


掲載日:2010 年 3 月 17 日

no.46 試行錯誤

FLANNEL SOFAの記事

100323_1現在まさにコンセプトモデル製作中です。

予想通り、2度の失敗をしながら、三回目の製作でようやくこのやり方、仕上げ方かな、というのがはっきり見えてきました。

コンセプトモデルは、コンセプトを全面に出して見せる(魅せる)ことが目的のため、座ると角の部分のアタリはどうしても感じられるだろう・・モノ的には、‘座れるオブジェ’を目指して、座面だけはしっかりソファらしさを出せる工夫を盛り込みました。

しかし、エッジライン上を手縫いで仕上げるための、縫い床の綿ひもに、もう一重メッシュニットをきつく巻きつけることで、背のアタリもだいたいは解消されたし、パキッとしたエッジ感も出ている・・。なんとか、下地はこれで決定。

100323_2

ここから膨らまない程度のウレタンで肉付けし、あとは型どり、裁断、縫製。今回のコンセプトモデルの仕上がりを良くする要となっている、張り地のウールニットの’伸び‘によって、どこまで型がずれるのか・・見当がつかない。

とにかく不明なので、そのまま進行させる事に。写真にもあるように、ロンドの転がる軌跡に沿ってまずは裁断。これしかやり方ないな、と思いながらロンドを一人で転がしながら一人でマーキング。本当、面白い転がりをするな、と思いつつ、思い切ってハサミを入れる。そして次、縫製。

100323_3

縫製に関してはやはり、あまり問題なく、少しずつ丁寧にチクチクと手縫いを進めている状態です。
これを仕上げて来週予定の商品化に向けての打ち合わせに臨みたいと思います。

————————————————-
FLANNEL SOFA
http://www.flannelsofa.com
http://www.flannelsofa.com/shop/
ハギレプロジェクト
http://www.flannelsofa.com/hagire/
————————————————-


掲載日:2010 年 3 月 2 日

no.45 まぁ〜るくなりました

100310

「RONDO/ロンド」のコンセプトモデルの途中段階を見学しに、工場へ伺ってきました。
写真は、コンセプトモデルを囲んで、丸くなり、皆で話合いをしている所です。
さぁ、写真を見て、今までと違う感じを受けている方はいるでしょうか?
ブログをずっと見続けている方なら気づけるはずです!!

例えば、「学生っぽい人がいつもより多くない??」とか思ったりしませんでしたか?
そうなんです。僕たち伊藤研究室の新メンバーが3人写っています。皆、ソファの工場にくるのはうまれて初めてで、キョロキョロしっ放しでした。FLANNELの和田さんの話も、目を輝かせて聞き入っていました。
帰りの道中でも、工場で見たことについて話し合っていて、とても刺激的な体験ができたようです。

よぉ〜く、コンセプトモデルをみてください。ある部分が丸くなっていることに気づくはずです。
スフェリコンに近づくため、まぁ〜るくラインを整え、きれいな形になってきました。
ここから、ウレタン、布が張られていくわけですが、どうなるのかとても楽しみです!!
乞うご期待!!

[デザイナー富田のつぶやき]

「RONDO/ロンド」のデザインをさせてもらった富田からもうすこし具体的な説明をしてみます。
今回と以前の「RONDO/ロンド」の違いは両側面にある板がほぼ半円になったという点です。

「RONDO/ロンド」はスフェリコンという幾何学をベースにしてデザインしているので側面の板は半円になるはずなのです。ところが以前の「RONDO/ロンド」は底面で安定させるために四角くなっていました。
この点についてはFLANNELSOFAの職人の和田さんとも議論になっていた点で「もう少し、丸く出来ませんか」とデザイナー視点として何度か打ち合わせがあるごとに御願いしていたのですが、断固として受け入れられずでした。

今回はその気になっていた点が完全に解消されて美しく進化してきました。
座ったときにもロッキングチェアのように揺らすことができるので

「転がる=等高重心立体=スフェリコン=RONDO/ロンド」

ということが体験的に伝わってきます。

今後の仕上げの作業も以前のステッチに関する問題点を踏まえて、より純粋な「RONDO/ロンド」にするための策があるので、その策と職人技を楽しみにしています。

100310_2

——-
名古屋工業大学/伊藤研究室
http://www.type-ab.com/ti_di/index.html
——-


名古屋工業大学
伊藤研究室

家具からインテリア、建築等を一つの環境と捉えデザインの研究と実践 を行っている。行政・企業・市民を巻き込んだ、インスタレーションや マチづくりにも従事し、社会・世界に向け活発に活動中。

TYPE A/B

住宅設計からマンションのリノベーションなど住空間のデザインを手掛 けている。また、市場分析からコンセプトを創造し、ロゴやネーミング などデザインを活かしたブランド戦略を実践中。

FLANNEL SOFA

私たちの考える本当の意味での「デザイン」とは、 思案から、ソファ製作の過程をへて、お客様の元へ、その後長く使用され続ける。 そのようなロングライフなモノ作りこそが、デザインだと考えます。

 RSS購読